給与や勤務地の希望をどう伝える?
条件交渉にはテクニックが必要
面接とは企業が応募者を見る場であると同時に、双方の話し合いの場でもあります。
可能なら、気になる給与、待遇などの条件について交渉することもできます。
しかし、いずれもデリケートな内容に関わる問題だけに、不用意に切り出してはマイナス材料となることを肝に銘じておかなくてはいけません。ここでは、条件交渉のテクニックを伝授します。
「給与」の交渉術のポイント
そもそも、給与の交渉が可能かどうかということを判断する必要があります。企業によっては、金額の交渉を快く思わないところも存在します。交渉が可能かどうかは、企業体質についての研究を充分に行ったうえで判断すべきです。もちろん、本番に備えて希望金額はあらかじめ算出しておきましょう。
自分の業界経験からこれらを冷静に判断し、自分が貢献できることに対する対価を提示すれば大丈夫。
その際、過去の業績や給与実績など、客観的なデータを示しながら交渉を進めることが肝心です。
先走った金額提示はタブー
まずは給与体系の全体像について尋ね、その反応を見ながら交渉を進めていくという姿勢が重要。基本的には、面接の後半に入ったあたりで、職務内容や職歴などについての話が終わってから切り出すのが一般的です。
面接官の話の流れを汲み取り、最適と思われるところで金額を提示してください。
相手に与える印象に細心の注意を払おう
希望金額がどれほど説得力のある数字だったとしても、話し方や態度で相手に与える印象がまったく違うものになります。
下手をすると、自信過剰な人物、ひとりよがりで頭の固い人物と見られてしまう可能性もあります。かといって、おどおどして口ごもったように切り出すのも交渉に臨む態度とはいえません。ハッキリと、話すべきことを話す。
明確に自分の給与額を提示することができるのは、自信があるからだという印象を面接官に植えつけられるようにしましょう。
こういうトークは×
前職での成功談や成果について話し、一方的に希望額を提示する。
生活に困っていることをアピールし、「なんとか○○○万円台でお願いできませんでしょうか」と懇願する。
「△△にお金がかかるので、最低でも年収○○○万円はほしいです」と自分の都合だけを述べ、能力についてのアピールをしない。
「勤務地」の交渉術のポイント
勤務地については、それほど気を遣うことなくストレートに意向を伝えても問題ないでしょう。自分が応募する職種、配属されるであろう事業所を予測したうえで、提示するエリアについて絞り込んでおくと交渉がスムーズに進められます。
しかし、入社後しばらくは希望した勤務地に配属となっても、その後の異動により転勤を命ぜられる場合もあります。転勤があるかどうかを確認する際は、質問の仕方に工夫が必要です。
柔軟な姿勢をアピールする
全国に支社や営業所を持っている企業の場合、職種や勤務地を限定して募集している場合は別として、一般には人事異動に伴う転勤があるとみるべきでしょう。
頑(かたく)なに希望地域にこだわると、「協調性に欠ける人物」と判断されかねません。
勤務地の希望を述べる場合は、「もし可能なら」「こちらの希望としては」といった言葉を加え、基本的には辞令に従ってどこにでもいく心構えがあるという姿勢を示すことが、意欲を見せるうえでも重要なポイントです。
自分本位の理由づけは嫌われる
なぜその勤務地を希望するのかについて述べるときも、「実家に近いから」といった理由では説得力に欠けます。そればかりか、仕事に対する真剣さに欠けると判断されることも。
もし、家族に病人がいるなどの理由で、どうしても転居することができない場合は、面接の段階で家庭の事情をハッキリと伝え、相応に配慮してもらえるようお願いしましょう。
こういうトークは×
「○○支社なら通勤も楽ですし、古くからの友人もたくさんいるエリアですから」
「なるべくなら転勤はしたくありません。東京以外のところに住むのは嫌なんです」
「将来的に転勤はあるのでしょうか? あまり遠いところだとちょっと困るんですけど」
「待遇」の交渉術のポイント
面接前に、前の勤務先ではどんな手当が支給されていたのか、給与と賞与を含めた年収がいくらだったのかは把握しておきましょう。
しかし、諸手当や賞与、昇給などについては、基本給のように、交渉の対象とはならないと心得て。
細かな金額にまで言及しないこと
住宅手当、家族手当、地域手当などの諸手当は、業務スキルに関係なく、各自の生活条件に沿って決められていきます。つまり、住居事情や家族構成さえわかれば、入社前でも支給額を算出することは可能です。
ですが、具体的な支給額までこと細かに質問するのは、金銭にうるさいと判断されかねません。さらりと自分はどの手当の支給対象に該当するかを確認するにとどめておきましょう。
昇給、賞与は過去の実績例を聞く
賞与の支給額、昇給額については、業界を取り巻く状況や企業の業績によって変動します。具体的な金額を質問しても、人事としても答えられないのは当然です。
ここでも、金額に固執することは避けるべき。賞与支給の制度や昇給制度、参考として過去の賞与実績などについて聞くにとどめておきましょう。なお、転職後最初の賞与は、査定期間と在籍日数に基づいて算出されるため、満額をもらうことはできないとみるべきです。
こういうトークは×
「私の諸手当を合算すると、どれくらいの金額になりますか」
「入社後、最初の賞与はいくらもらえますか」
「来年度の昇給額はいくらですか」
20代はここがポイント
経験がないからといって「給与はいくらでもかまいません」と言うのはタブー。
自分を安売りするようなことはしないで、自分のキャリアに見合った額を提示するほうが、面接官には好印象を与えます。
30代はここがポイント
育児と仕事との両立のため、保育園の送迎に支障のない範囲で勤務したいというような具体的な理由がある場合、面接官に正直に話してみるのも1つの手。
身勝手な理由でない限り、可能なら考慮してくれる可能性も。
40代はここがポイント
前職の給与へのこだわりが強く、金額の折り合いがつかないので、なかなか転職が決まらないということも多いのでは。
転職では金銭面のほかにも、社会保障など重視することがたくさんあることを忘れずに。