流れを押さえて自分なりの段取りを組む
円満退職のために肝に銘じておきたいのは、求職活動よりも在職中の職場の業務を最優先で考える……という大原則。お給料をもらっている間は、それが当たり前です。
会社や職場の仲間への迷惑を最小限にとどめ、マナーと常識を守ること。また、場当たり式の動き方をするとトラブルやリスクを招きます。思いつきや成り行きで退職するような事態は避けなくてはいけません。
まずは全体の流れや注意ポイントをチェック。求職活動を視野に入れたプランニングから始めて、自分なりの退職スケジュールを組み立てることをおすすめします。
退職までの流れと注意ポイント
退職プランニング
・転職目的やその難易度などから、求職の準備期間を見積もる
・志望業界・職種の情報を集めて、退職に有利な時期を検討する
・職場事情から退職に必要な期間を考慮して、具体的な手順を決める
まずは志望分野の求人状況や応募条件・採用基準をチェック。自分の経験・スキルと照らし合わせ、転職の難易度から「事前に免許取得が必要」などの準備期間を読む。
期間の目安がつけば「先に辞めて求職活動に専心する」か「在職のまま活動する」かの手順も判断できる。前者を選ぶなら失業に備えた経済面の準備。後者なら昇格の辞退や面接対応のための有休を残すなど環境づくりにも配慮。
退職手順と求職活動のバランスを見ながら、自分なりのスケジュールを組む。
退職時期の設定・退職意思の表示
・事前に退職の意思表示に関する就業規則や慣習を確認しておく
・仕事の流れも考え、多少の余裕を見たうえで伝える時期を決める
・退職意思は職場の誰よりも先に直属の上司に、まず口頭で伝える
事前に「希望退職は最低○カ月前に申し出る」などのルールもチェックし、直属上司に退職意思を伝える。余裕をもって伝えるほうがスムーズ。有給休暇を消化したい場合は、その分も読んで早めに。
なお、在職したままの転職活動の場合は「職場には知られないように動く」のをモットーにすること。社員である「公」と転職する「私」のケジメをつけ、退職のウワサが流れるような言動は慎む。
また、あらかじめ決算期や繁忙期を避けるなど、退職しやすい時期に内定をもらえるように求職活動の流れを組むのも基本。
退職日の設定と「退職願」提出
・具体的な退職日は、上司と話し合って了解のもとに決定する
・退職日を明記した「退職願」を、その2週間前までに上司に提出
・できる限り、転職先への入社日より現職場の都合を優先して調整
具体的な退職日の設定は、業務の流れや後任への引継ぎも考慮して、直属の上司と話し合って決めることが重要。「退職願」は職場に決まった書式があれば、それを使用する。
また、トラブル防止のためにも「退職願」は、退職日の2週間前までに提出するとよい。
先に辞めて求職活動をする人は、この時期に退職に伴う保険や税金の手続き、また管轄のハローワークの場所などを調べておくと素早く動ける。
残務整理・引継ぎ
・担当業務は退職日までに完了、または区切りをつける
・後任者の有無にかかわらず、引継ぎ内容を整理したノートを作成
・業務によっては後任者と取引先や関連部署を回るなど綿密に
早出や残業をしても、残務整理は責任をもって終わらせるのが原則。また引継ぎノートの作成は早めにスタート。
自分の退職後に入社する新人が後任になることも想定し、業務手順、注意点などをわかりやすくまとめる。
なお、転職先企業から猶予をもらって入社日を待ってもらっている状況なら、その長さに応じてメールなどで先方担当者に随時の連絡をすることもおすすめ。万一、担当プロジェクトが長引き、退職日も延びる事態に陥ったときも対応してもらいやすい。
退職当日・退職後
・退職時に会社に返すもの、会社から受け取るものをチェック
・使用していた机やロッカーなどの清掃。忘れ物のないようにする
・社内外へのあいさつ。必要ならあいさつ状を出す
経費の精算や手続きもあるので、退職当日は早めに出勤。会社のものと私物の混同に注意し、会社の資料・書類・用具用品などは整理して返却。情報の持ち出しも避ける。返却前に取引先から受け取った名刺のファイルなどをコピーするのも厳禁。
また、お世話になった人へのあいさつも大切。あいさつ状は事前から準備をすすめて、退職後、早めに出せるようにしておく。
なお転職先が決まっていない人は、退職後、自分で保険関係の手続きを行う必要がある。失業給付や医療費にかかわるので速やかに。