会社から引き止められたら?
優柔不断な伝え方は慰留を招くもと
あの手この手で引き留められて、退職をズルズルと先延ばしにしていく状況は避けたいもの。決心が固いなら、あきらめずに退職意思を伝えていくことが大切でしょう。
ただし、伝え方が問題。少しでも優柔不断な印象があれば、会社は交渉すれば勤続してもらえるかもしれないと考えるものです。そして実際に居残ることになれば、「人間、根気と我慢が大切だ」などと説教までされる事態に……。断固とした言い方ができない人が、陥りやすい状況です。
このような場合は、「すでに転職先が決まり、入社承諾書も提出した」などと言うのも1つの方法。勤続する気持ちがないことを具体的な行動として伝えることで、会社の受け取り方も変わるはずです。
不満を退職理由にすることは避ける
また絶対に避けたいのが、退職理由として給与や待遇、人間関係など職場への不満を口にすること。これは、よくマナーの問題としてとり上げられますが、それ以上に慰留防止のうえで大切です。
もし会社が、その従業員を引き止めたいと思えば、不満点の改善を申し出るのは当然のなりゆき。そうなると退職理由がなくなり、勤続せざるを得なくなってしまいます。
辞めるつもりなら、現在の職場では実現が不可能な将来目標など、会社が納得せざるを得ない理由を伝えなくてはいけません。また、職場の不満点改善のための交渉をするつもりなら「辞める」という言葉はタブー。会社や上司との関係悪化につながります。
最も多い慰留の原因はプランニングの不備
退職を希望する従業員を会社が引き止める理由として、最も多いのは退職スケジュールなど、プランニングに問題があるケースです。
たとえば退職時期が繁忙期に当たっている、急な話で後任の予定が立たない、任せている業務が山場にあって引継ぎが難しい……など。退職条件にムリがあるため応じられず、会社も困って慰留しているという例が少なくありません。
「法律では2週間前に言えば退職できるはず」「就業規則通りに伝えた」など、原則論をタテに強引に押しまくると、円満退職は望めません。会社の都合も考慮してプランを再検討したうえで、改めて上司と話し合うことをおすすめします。
20代はここがポイント
有期の雇用契約で多いのが「契約期間の途中で辞めたい」という例。いい顔をされないのは当然で、場合により契約不履行による損害賠償請求の対象になります。
ただし、一方では労働を強制できない法律もあり、結果「やむを得ない事情があれば仕方ない」とする企業が一般的。その点に配慮した理由を告げ、無理のない転職時期を示して上司と話し合うことが大切です。
30代はここがポイント
よくあるのが退職願の提出に対し、上司から「預かっておく」と対応される例です。セリフは関係なく、受け取ったという事実で“正式受理”となるのが一般的。退職日の2週間前までに提出すれば、法的な手続きはクリアされています。ただし、「預かる」と言われてしまう理由が問題です。
もし、退職日の調整も図らず勝手に退職願を提出した……といったケースなら、改めて上司と話し合わないとスムーズな退職はできません。
40代はここがポイント
誠意をもって対応しているのに退職の了解を得られず、トラブルになりそう……。そんな状況に陥っているようなら、居住地の労働基準監督署に相談してみるのも1つの方法です。
総合労働相談コーナーがあり、専門の相談員が面接や電話での相談を受け付けているほか、労働局長の助言・指導制度や紛争調整委員会によるあっせん制度などもあります。