お世話になった方へ退職のあいさつを
お世話になった方々へお礼と報告をする
転職が決まったら、なるべく早い時期に「転職あいさつ状」を送ります。できれば、退職が決まった時点からの準備がベスト。文面やレイアウトを考えたり、発送先のリストを作っておくことをおすすめします。
あいさつ状はハガキでOK。大切なのは、お世話になった方々が周囲のウワサではなく、直接、本人から転職の報告を受けるという点にあります。
転職先の社名は印刷でなく手書きで添える
文面で注意したいのが、転職先の社名です。パソコンや印刷による作成の場合、その文面には具体的な社名を入れないようにしましょう。
というのも、送る相手は取引先の担当者など、前職場を通じてお付き合いのある方々。もし、転職先が同業界の会社であれば、社名を記すことで何かと論議を引き起こす可能性があるかもしれません。また異分野の会社に転職するなら、あえて記述する必要があるかどうかも一考を要します。
もし具体的な社名を知らせたい場合は、相手を選んで印刷文面の余白などに手書きで添えるなど工夫するとよいでしょう。
一斉メールではあいさつ状の意味がない
よく「転職あいさつ状はメールでもいいか?」という質問を受けます。これは、どんな相手に・どんな内容の文面を・どうやって送信するのかにもよります。
全員にBCCで一斉送信というメールでは「告知通達」と同じです。転職の報告とこれまでのお礼を兼ねたごあいさつという印象は薄れがち。なかには「無礼」と感じる人がいるかもしれません。できるなら、転職あいさつ状は基本どおりに郵送し、それとは別に相手に合わせた個別のメール連絡をする方法をおすすめします。
なお言うまでもありませんが、退職前に会社のパソコンから個人的な転職あいさつ状を送信するのは非常識。パソコン内の取引先住所録やアドレスデータの持ち出しも慎むのが原則です。
あいさつ状の書き方
内容は簡潔でよいが、取引先の役職者などを想定して、くだけた表現は避ける。
印刷やパソコンのプリンターで作成する場合は数行程度の余白を用意して、送る相手に応じて一筆の添え書きをするとベター。
あいさつ状の書き方のポイント
※1 冒頭のあいさつ(時候の言葉は“時下”なら季節を問わない)。
※2 退職報告は期日や勤続年数を入れるとよい。
※3 在職中にお世話になったことに対するお礼を述べる。
※4 転職先での仕事内容や新しい環境での抱負(社名は省く)。
※5 今後の支援や指導のお願いと先方に対する配慮。
20代はここがポイント
前職場には縁故者の紹介や口利きがあって入社した……。そんなケースでは、入社時にお世話になった方にも報告をしましょう。
特に短期で退職した場合は、書面だけで済ませず、直接足を運んであいさつをすることも心がけてください。身元保証人などを引き受けてくれた方に対しても同様。これからの支援を得るためには、そんな基本マナーを忘れずに。
30代はここがポイント
キャリアを生かした転職では、職種や業界によって、これまでの取引先が有望なビジネスターゲットになるもの。あいさつ状を送る相手も、それを了解しています。
今後のアプローチを予測させるような、あからさまな文面は自己本位な印象を与えるだけ。人間性とマナーが試される……と考えて,あくまでお礼とさりげない報告の文面をおすすめします。
40代はここがポイント
キャリアが長い分、送付範囲も広がり、大量のあいさつ状が必要になりがちです。けれど、印刷ハガキにパソコンの宛名シール……では、まるでDM。報告はできても心からの謝意を伝えたり、今後のおつきあいを深めるものにはなりにくいのが実情でしょう。
ひと言でも自筆の添え書きを記すことを心がけ、事前から準備をはじめるようにしてください。